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scriniarius Togawanus

復習がてら古典作品の対訳を書くだけです。

CIL V 5132

今日のゼミで解釈を習った墓碑銘です。

 

V(ivus) f(ecit)

L. Blandius C.f.

Vot(uria tribu)

IIIIII vir et

Augustalis

et flaminalis

sibi et 

Valeriae L. f.

Rusicae

uxori

 

改行だけ忠実に書きました。一つずつ日本語に訳すと以下のようになります。(これ以上縦に長くなるとあれなので、改行部は / で示しました)

 

生きている者が作った / ガイウスの息子ルキウス・ブランディウスが / ウォトゥリア区の / アウグスターリスの六人委員であり、神官である / 自身のために、そして / ルキウスの娘ウァレリアのために / ルスティカに / 妻に

 

L. = Lucius, C. = Gaius, f. = filiusの略ですが、もちろん活用しているので(例えば最初のC. = Gaii (sg. gen.))、読むときめんどくさいです。

ローマ人の名前の書き方は、praenomen-nomen-cognomenのように3つ示されることがありますが、そこにnomenとcongnomenの間にステータスとして「何某の息子」「何某の解放奴隷」のように書かれるので、実はここに出てきている人名は二つだけで、ガイウスの息子ルキウス・ブランディウスと、彼の妻であり、ルキウス(別のルキウスさん)の娘であるルスティカ・ウァレリアとなるのだそうです。

 

以上、適宜補ってまとめるとこんな感じでしょうか?

 

アウグスターリス六人委員であり神官でもある、ウォトゥリア区の、ガイウスの息子ルキウス・ブランディウスが存命中に成した;自身と、妻である、ルキウスの娘ルスティカ・ウァレリアのために捧ぐ

 

端的に言って名前の修飾長すぎです。

Alcibiades (Chap. 4) in Nepos "De Excellentibus Ducibus Exterarum Gentium"

 Hoc crimine in contione ab inimicis compellabatur.

この告発によって彼は民会において敵対者によって訴えられた。

 

sed instabat tempus ad bellum proficiscendi.

だが戦争へと旅立つ時が迫っていた。

 

Id ille intuens neque ignorans civium suorum consuetudinem postulabat, si quid de se agi vellent, potius de praesente quaestio haberetur, quam absens invidiae crimine accusaretur.

彼はそのことを考慮し,そこ【=アテナイ】の市民たちの風習についても無知でなかったので,もし彼自身【=アルキビアデス】が訴えられることを彼ら【=アテナイ市民】が望むなら,嫉妬の告発を不在中ではなく,むしろ自分がいる間に審問が挙行されるように要求した。

 

animici vero eius quiescendum in praesenti, quia noceri non posse intellegebant, et illud tempus exspectandum decreverunt, quo exisset, ut absentem aggrederentur;

しかし彼の敵対者は,彼に害を為すことができないとみなしたため,目下静観しようとし,そして,彼が不在の時に攻撃するために,その時ーそこにおいて彼が出発したーが待たれることを決定した;

 

itaque fecerunt.

そしてそのように実行した。

 

Nam postquam in Siciliam eum pervenisse crediderunt, absentem, quod sacra violasset, reum fecerunt.

すなわち彼らは,彼がシチリアに至ったと考えた時,不在者を,神聖な事柄を冒涜したという理由で,有罪と為したのである。

 

Qua de re cum ei nuntius a magistratu in Siciliam missus esset, ut domum ad causam discendam rediret, esset que in magna spe provinciae bene administrandae, non parere noluit et in trierem, quae ad eum erat deportandum missa, ascendit.

この事柄によって,経られるであろう訴訟のために本国へ戻るようにと,行政長官からシチリアにいる彼に使者が送られ,【+一方で】また,彼が担当領域がよく統治される大きな希望の中にあったとき,彼は【+命令に】従わないことを欲さず,彼を載せるために送られてきた三段櫂船に乗り込んだ。

 

Hac Thurios in Italiam pervectus, multa secum reputans de immoderata civium suorum licentia crudelitateque erga nobiles, utillissimum ratus impendentem eritare tempestatem clam se ab custodibus subduxit et inde primum Elidem, dein Thebas venit.

この船によって彼はイタリアのトゥリイに送られ,自分の市民たちの制限のない身勝手さと卓越した人に関しての残酷さを何度も自身の中で省察し,自分に迫ってくる嵐を避けるのが最も良いと考え,密かに守衛たちのもとから抜け出し,そしてまずエリスへ,ついでテーバエに向かった。

 

Postquam autem se capitis damnatum bonis publicatis audivit et, id quod usu venerat, Eumolpidas sacerdotes a populo coactos, ut se decvoverent, eiusque devotionis, quo testatior esset memoria, exemplum in pila lapidea incisum esse positum in publico, Lacedaemonem demigravit.

しかし彼が自身において死刑の宣告を受け財産を国庫へ没収されたと聞くと,また,それ【=神官団が呪ったこと】は実際に起った【=前例のある】ことだが,彼を呪うように,エウモルピダイという神官たちが人々によって強制され,そしてこの行動【=以下で述べる石柱を立てる行為】によって記憶がより明確になるように,【+呪いの】写しが石柱に刻まれて公共の場に置かれたのを聞くと,ラケダイモンへと逃げた。

(capitis:罪状の属格,quo=ut eo)

 

Ibi, ut ipse praedicare consuerat, non adversus patriam, sed inimicos suos bellum gessit, qui eidem hostes essent civitati:

そこで,彼はいつも述べていた通り,祖国に敵対するではなく,彼の敵に対して,同じ者たちが国家の敵であるとして,戦いを行った:

(essent:間接引用の接続法副文)

 

nam cum intellegerent se plurimum prodesse posse rei publicae, ex ea eiecisse plusque irae suae quam utilitati communi paruisse.

すなわち彼が国家のために非常に役に立つことができるということを知っていながら,彼を追い出したこと,つまり公共の利益よりも自分たちの怒りにより従順になっていたということ。

 

Itaque huius consilio Lacedaemonii cum Perse rege amicitiam fecerunt, dein Deceleam in Attica munierunt praesidioque ibi perpetuo posito in obsidione Athenas tenuerunt;

そういうわけで彼の助言によってラケダイモン人たちはペルシア王と同盟を結び,次いでアッティカのデケレアを堡塁で囲み,そしてそこに常駐の守備隊を置き,アテナイを包囲戦の中に持ち込んだ;

 

 

eiusdem opera Ioniam a societate averterunt Atheniensium;

同じ者【=アルキビアデス】の力によって彼らはイオニアをアテナイ人との同盟関係から離れさせた。

 

quo facto multo superiores bello esse coeperunt.

そしてそのために彼らは戦争において遥かに優位に立ち始めた。

 

4つ目の「その時」の件は原文を残そうとまどろっこしくしてますが,要するに「敵対者たちは彼が出発するその時を待とうと決めた」ということです。

各文に文法事項の注釈を入れることにしました。以前のにも何時か挿入します。

 

かなり期間が空きました。今回の部分は予習せずに講義に挑んだ部分なので,自分の訳ができておらず一から訳し直してたんですね...ついでにここ1~2週間多忙だったので...

 

【参考文献】

Roebuck, R. (ed.) (1987) Nepos: Three Lives, Bristol Classical Press, p.18 sq. (ラテン文もこれを使用)

上村健二,山下太郎訳(1995)『英雄伝』,国文社,47-8頁

 

第1章

Alcibiades (Chap. 1) in Nepos "De excellentibus ducibus exterarum gentium" - scriniarius Togawanus

第2章

Alcibiades (Chap. 2) in Nepos "De excellentibus ducibus exterarum gentium" - scriniarius Togawanus

第3章

Alcibiades (Chap. 3) in Nepos "De excellentibus ducibus exterarum gentium" - scriniarius Togawanus

第5章

Alcibiades (Chap. 5) in Nepos "De excellentibus ducibus exterarum gentium" - scriniarius Togawanus

第6章

Alcibiades (Chap. 6) in Nepos "De excellentibus ducibus exterarum gentium" - scriniarius Togawanus

 

Lex de imperio Vespasiani (CIL VI 930, ILS 244)

foedusve cum quibus volet facere liceat, ita uti licuit divo Aug(usto), Ti. Iulio Caesari Aug(usto), Tiberioque Claudio Caesari Aug(usto) Germanico.

そして神と崇められたアウグストゥスティベリウスユリウス・カエサルアウグストゥス,そしてティベリウスクラウディウスカエサルアウグストゥスゲルマニクスに許された通りに,彼【=ウェスパシアヌス帝】が望む者と条約をなすことは適法である。

 

Utique ei senatum habere, relationem facere, remittere, senatus consulta per relationem discessionemque facere liceat, ita uti licuit divo Aug(usto), Ti. Iulio Caesari Aug(usto), Ti. Claudio Caesari Augusto Germanico.

そして神と崇められたアウグストゥスティベリウスユリウス・カエサルアウグストゥス,そしてティベリウスクラウディウスカエサルアウグストゥスゲルマニクスに許された通りに,そのことについて元老院会議を挙行し,報告を行い,差し戻し,報告と採決の結果として元老院の決定を実行するのが適法である。

 

Utique cum ex voluntate auctoritateve iussu mandatuve eius praesenteve eo senatus habebitur, omnium rerum ius perinde habeatur servetur, ac si e lege senatus edictus esset habereturque.

そして彼【=ウェスパシアヌス帝】の要求,もしくは意向,指示,命令,あるいは【+彼が】出席される中で元老院会議が挙行されるであろう時は,法令に従って元老院が命令され挙行されるのと同様に,万事についての法が保持・維持される。

 

Utique quos magistratum potestatem imperium curationemve cuius rei petentes senatui populoque Romano commendaverit, quibusque suffragationem suam dederit promiserit, eorum comitis quibusque extra ordinem ratio habeatur.

そして彼【=ウェスパシアヌス帝】がマギストラートゥス【≒公職者】,ポテスタース【≒公職者に適法に帰属する国家権力の総体】,インペリウム【≒命令権】,もしくは何らかの監督役を得ようと努める者をローマの元老院と人民に推薦し,彼の支持を与え,また約束した者に対して,いかなる民会においてもその者たちに通常以上の配慮が保持される。

 

Utique ei fines pomerii proferre promovere, cum ex re publica censebit esse, liceat, ita uti licuit, Ti. Claudio Caesari Aug(usto) Germanico.

ティベリウスクラウディウスカエサルアウグストゥスゲルマニクスに許された通り,公共益に従っていると彼【=ウェスパシアヌス帝】が評価した場合,ポメリウム【≒ローマ市の聖域(武器の携行が禁止され,内外でインペリウムの種類が別れた)】の境界を拡大・延長することは適法である。

 

Utique quaecumque ex usu reipublicae maiestate divinarum humanarum publicarum privatarumque rerum esse censebit, ei agere facere ius potestasque sit, ita uti divo Aug(usto), Tiberioque Iulio Caesari Aug(usto), Tiberioque Claudio Caesari Aug(usto) Germanico fuit.

そして国家の利益と神・人間・国家・私人の物事の威厳に従うと彼【ウェスパシアヌス帝】が評価するものは何でも,神と崇められたアウグストゥスティベリウスユリウス・カエサルアウグストゥス,そしてティベリウスクラウディウスカエサルアウグストゥスゲルマニクスがそうした通り,彼に実行する権能と権力がある。

 

Utique quibus legibus plebeive scitis scriptum fuit, ne divus Aug(ustus) Tiberiusve Iulius Caesar Aug(ustus), Tiberiusque Claudius Caesar Aug(ustus) Germanicus tenerentur, iis legibus plebisque scitis imp. Caesar Vespasianus solutus sit;

そして法,もしくは平民会決議により記されたものに,神と崇められたアウグストゥス,もしくはティベリウスユリウス・カエサルアウグストゥス,そしてティベリウスクラウディウスアウグストゥスゲルマニクスは束縛されず,これら法や平民の裁定からカエサルウェスパシアヌス帝は自由である。

 

quaeque ex quaque lege rogatione divum Aug(ustum) Tiberiumve Iulium Caesarem Aug(ustum), Tiberiumve Claudium Caesarem Aug(ustum) Germanicum facere oportuit, ea omnia imp. Caesari Vespasiano Aug(usto) facere liceat.

神と崇められたアウグストゥス,もしくはティベリウスユリウス・カエサルアウグストゥス,そしてティベリウスクラウディウスアウグストゥスゲルマニクスが法と提議に従って為すべきとしたことは何でも,それら全てがカエサルヴェスパシアヌスアウグストゥス帝において為すことが許される。

 

Utique quae ante hanc legem rogatam acta gesta decreta imperata ab imperatore Caesare Vespasiano Aug(usto) iusu mandatuve eius a quoque sunt, ea perinde iusta rataq(ue) sint ac si populi plebisve iussu acta essent.

この法以前に,カエサルヴェスパシアヌスアウグストゥスとその命令・指令を受けたものによって依頼され,【+企てて】行われ,【+管理して】実行され,規定され,命令されたものも全てまた,それらが人民や平民の命令で行われていたのと同様に正当かつ有効である。

 

Sanctio

刑罰規定【=約款】

 

Si quis huiusce legis ergo adversus leges rogationes plebisve scita senatusve consulto fecit fecerit, sive quod eum ex lege rogatione plebisve scito scenatusve c(onsulto) facere oportebit, non fecerit huius legis ergo, id ei ne fraudi esto, neve quit ob eam rem populo dare debeto, neve cui de ea re actio neve iudicatio esto, neve quis de ea re apud [s]e agi sinito.

もし何者かがこの法の故に,法・法案・平民の決議・元老院の決議に反することを行った,あるいはこれから行う場合,もしくはこの法の故に,法・法案・平民の決議・元老院の決議に従って行わねばならないことをしなかったとき,これはその人を罪に問わず,このことについて何かを人民に与えず,そのことについて訴訟や判決はなく,その人の前においてそれについての何か【=訴訟】を行うことは許されない。

 

 

 

ウェスパシアヌス帝が発布した命令権に関する法令,所謂「ウェスパシアヌス皇帝法」の碑文の拙訳です。語彙のニュアンスを未だ掴めていないので,上手いこと訳し分けができませんでした...

本来改行されているところを示さないなど,本来碑文に含まれている情報を大幅にカットしたテクスト・オンリーですがご容赦ください。史料写真などは

LEX DE IMPERIO VESPASIANI (CIL VI 930; ILS 244) | open.conted.ox.ac.uk (beta)

で公開されています。

彼が皇帝権力を確立すべく取り決めた条項で,簡単に言ってしまうと先代までの皇帝に認められていた権利を彼が引き継ぐことが確認されているということでいいでしょうか?

講義によると,本来この碑文は複数枚あったそうで,現存部は二枚目かそれ以降のものだそうです。おそらく命令に関する動詞が冒頭部に存在していたと考えられ,繰り返される"utque"はこれに掛かるものだそうです。

 

【参考文献】

Limentani, C. (1991) Epigrafia Latina, pp.113-114.

Meyer, E. (1948) Römischer Staat und Staatsgedanke, Zürich [鈴木一州訳 (1978) 『ローマ人の国家と国家思想』岩波書店](用語の注釈はこれを参考にしました)

 

 

Alcibiades (Chap. 3) in Nepos "De excellentibus ducibus exterarum gentium"

Bello Peloponnesio huius consilio atque auctoritate Athenienses bellum Syracusanis indixerunt;

ペロポネソス戦争において,この人【=アルキビアデス】の助言とそれに加えて勧告に従って,アテナイ人はシュラクサ人たちに戦争を布告した【⇒宣戦布告した】;

 

ad quod gerendum ipse dux delectus est, duo praeterea collegae dati, Nicia et Lamachum.

これ【=戦争】を実行することに向けて,彼自身が指導者【=将軍】に選ばれ,加えて2人の同僚,ニキアスとラマクスが【+彼に】委ねられた。

 

Id cum appararetur, priusquam classis exiret, accidit, ut una nocte omnes Hermae, qui in oppido erant Athenis, deicerentur praeter unum, qui ante ianuam erat Andocidi.

それ【=戦争】が準備されている間に,艦隊が出発するより以前に,アテナイのオッピドゥム【=城市】内にあった全てのヘルメス神の柱が,アンドキデスの家の前にあった一つを除いて,全て倒されるということが起こった。

 

Itaque ille postea Mercurius Andocidi vocitatus est.

それ故,それ【=唯一倒されなかった柱】はその後アンドキデスのメルクリウス【=ヘルメス】と称された。

 

Hoc cum appareret non sine magna multorum consensione esse factum, quae non ad privatam, sed publicam rem pertineret, magnus multitudini timor est iniectus, ne qua repentina vis in civitate exsisteret, quae libertatem opprimeret populi.

このことが非常に多くの人々の一致なしには実現されないことが明らかになったので,それは私個人ではなく国家を標的としたものであり,人民の自由を抑圧する,都市内での突然の暴力が生じるのではないかという恐怖が多くの群衆において引き起こされた。

 

Hoc maxime convenire in Alcibiadem videbatur, quod et potentior et moior quam privatus existimabatur.

このことはアルキビアデスにおいて極めて合致するように思われていた;なぜなら彼は【+単なる】一個人よりも影響力があり能力が高いと評価されていたからだ。

 

Multos enim liberalitate devinxerat, plures etiam opera forensi suos reddiderat.

というのも【or実際】彼は気前の良さによって【+人々を】従わせ,更に多く【+の人々】を司法における労苦によって自らのものにしていたのであった。

 

Qua re fiebat, ut omnium oculos, quotienscumque in publicum prodisset, ad se converteret neque ei par quisquam in civitate poneretur.

それ故に,彼は公の場に何度現れても全ての人々の目を自分に向けさせ,市民の中で彼に匹敵するとみなされるものはいないということになっていた。

 

Itaque non solum spem in eo habebant maximam, sed etiam timorem, quod et obesse plurimum et prodesse poterat.

それ故,彼は非常に多くの害を為すことも益を為すこともできたので,人々は多大な期待を彼において抱くだけでなく,不安もまた抱いていた。

 

Aspergebatur etiam infamia, quod in domo sua facere mysteria dicebatur;

そのうえ,自らの家の中で密教を行っていると言われていたという悪評を以って,彼【+の名誉】は汚されていた;

 

quod nefas erat more Atheniensium, idque non ad religionem, sed ad cojurationem pertinere existimabatur.

そのことはアテナイ人の慣習においては瀆神であり,さらにそれは宗教ではなく,共謀に関わるものとして判断されていたのである。

 

 

ネポスのアルキビアデス伝の第3章です。極力原文を残そうとして無理に直訳したので妙な日本語になっていますがご容赦ください。

 

このアルキビアデスに関わる記述は,ネポスの時代のローマを反映していると言われています。例えば司法における援助といった記述は確かに古典期アテナイでは生じ得ない関係と言えるでしょう。具体的にはカテリーナの陰謀事件が照射されているそうです。

また,ヘルメス神の柱の事件も多少史実とは異なっているそうで,実際は倒されたのではなく,像の突起物を折られた,という事件だそうです。

機会があればこれに関する別の資料も見てみたいものです。

 

【参考文献】

Roebuck, R. (ed.) (1987) Nepos: Three Lives, Bristol Classical Press, p.17sq. (ラテン文もこれを使用)

上村健二,山下太郎訳(1995)『英雄伝』,国文社,46-47頁

 

第1章

Alcibiades (Chap. 1) in Nepos "De excellentibus ducibus exterarum gentium" - scriniarius Togawanus

第2章

Alcibiades (Chap. 2) in Nepos "De excellentibus ducibus exterarum gentium" - scriniarius Togawanus

第4章

Alcibiades (Chap. 4) in Nepos "De Excellentibus Ducibus Exterarum Gentium" - scriniarius Togawanus

第5章

Alcibiades (Chap. 5) in Nepos "De excellentibus ducibus exterarum gentium" - scriniarius Togawanus

第6章

Alcibiades (Chap. 6) in Nepos "De excellentibus ducibus exterarum gentium" - scriniarius Togawanus

Alcibiades (Chap. 2) in Nepos "De excellentibus ducibus exterarum gentium"

Educatus est in domo Pericli (privignus enim eius fuisse dicitur), eruditus a Socrate.

ペリクレスの家で養育され(というのも彼の継子であったと言われているからだ),ソクラテスから教えを受けた。

 

socerum habuit Hipponicum, omnium Graeca lingua loquentium ditissimum, ut, si ipse fingere vellet, neque plura bona reminisci neque maiora posset consequi, quam vel natura vel fortuna tribueret.

ヒッポニクスを義父に持ったが,彼【=ヒッポニクス】は全てのギリシア語話者の中で最も富んでおり,それ故,たとえ彼が自身を自身で詐称しようと欲しても,自然或いは運が贈った以上の,よりよい恩恵を考えつくこともそれ以上のものを得ることもできないのであった。

 

Ineunte adulescentia amatus est a multis amore Graecorum, in eis Socrate;

青年期が始まると彼は多くのギリシア式の愛を以って愛され,その中にソクラテスもいた;

 

de quo mentionem facit Plato in symposio.

これについてはプラトンが「饗宴Symposium」において記述している。

 

Namque eum induxit commemorantem se pernoctasse cum Socrate neque aliter ab eo surresxisse, ac filius a parente debuerit.

確かに【+プラトンは】彼のことを言及し【⇒彼を登場させ】ソクラテスと一夜を過ごしたこと,【+だがしかし】息子が父の元からそうせねばならないのと同様にそこから身を起こしたことを彼【=アルキビアデス】自身【+の発言?】として引用したのである。

 

posteaquam robustior est factus, non minus multos amavit;

彼はさらに成長してからも,劣らず多くの男達を愛した;

 

in quorum amore, quoad licitum est odiosa, multa delicate iocoseque fecit, quae referremus, nisi maiora potiora haberemus.

その愛において,彼は忌まわしい行為を許された限り,多くのことを優美さと機知を以って行った;より重要なものを【+彼の人生が】含んでいないなら,我々はそのことを記述していた。

 

 

Cornerius NeposによるAlcibiadesの伝記の第2章の拙訳です。彼の生い立ちが簡潔に記されています。彼がペリクレスの継子であったとありますが,実際は後見人とはいえ,単なる親戚であったようです。

5つ目と7つ目が要訂正な気がします。

 

【参考文献】

Roebuck, R. (ed.) (1987) Nepos: Three Lives, Bristol Classical Press, p.17. (ラテン文もこれを使用)

上村健二,山下太郎訳(1995)『英雄伝』,国文社,45-46頁

 

第1章

Alcibiades (Chap. 1) in Nepos "De excellentibus ducibus exterarum gentium" - scriniarius Togawanus

第3章

Alcibiades (Chap. 3) in Nepos "De excellentibus ducibus exterarum gentium" - scriniarius Togawanus

第4章

Alcibiades (Chap. 4) in Nepos "De Excellentibus Ducibus Exterarum Gentium" - scriniarius Togawanus

第5章

Alcibiades (Chap. 5) in Nepos "De excellentibus ducibus exterarum gentium" - scriniarius Togawanus

第6章

Alcibiades (Chap. 6) in Nepos "De excellentibus ducibus exterarum gentium" - scriniarius Togawanus

Alcibiades (Chap. 1) in Nepos "De excellentibus ducibus exterarum gentium"

Alcibiades, Cliniae filius, Atheniensis.

クリニアの息子,アルキビアデスはアテナイ人である。

 

In hoc quid natura efficere possit, videtur experta.

この人において自然が何を成し遂げられるか,【+自然は】試したように思われる。

 

constat enim inter omnes, qui de eo memoriae prodiderunt, nihil illo fuisse excellentius vel in vitiis vel in virtutibus.

というのも彼について記録を残した【or記憶した】全ての人々の間で,悪徳においても美徳においても彼より卓越した者がいたことは決してないことが知られているからだ。

 

Natus in amplissima civitate summo genere, omnium aetatis suae multo formosissimus, ad omnes res aptus consiliique plenus (namque imperator fuit summus et mari et terra, disertus, ut in primis dicendo valeret, quod tanta erat commendatio oris atque orationis, ut nemo ei [dicendo] posset resistere), dives;

最も有名な都市において最上の家門から生まれ,彼の世代のすべての人の家で最も美しく,全てのことについて適格で豊かな賢察の人であり(というのも海と陸において至上の最高指揮官であり,そして雄弁で,それ故に発言されること【⇒演説】において第一人者の中でも力があり,これ程のものは外見やさらに発言の推薦【⇒魅力】があり,誰も[発言されること]について抵抗することができないほどであったからである),裕福であった;

 

cum tempus posceret, laboriosus, patiens;

状況が要求していた時は,勤勉で,辛抱強かった;

 

liberalis, splendidus non minus in vita quam victu;

公的生活でも生き方に劣らず気前が良く,華麗であった;

 

affabilis, blandus temporibus callidissime serviens:

丁寧で,優雅で,状況に巧みに従う【+人物であった】:

 

idem, simulac se remiserat neque causa suberat, quare animi laborem perferret, luxuriosus, dissolutus, libidinosus, intemperans reperiebatur, ut omnes admirarentur in uno homine tantem esse dissimilitudinem tamque diversam naturam:

一方で,彼も自身を緩ませ【or 気を緩ませ】,知の労働を耐える理由が無くなるや否や,放蕩で,軽薄で,自制,節度のない姿を目撃されており,それゆえ一人の人間においてこれほど多様で異なった性質があることに皆が驚くほどであった。

 

(原文における校訂記号は和訳において全角記号で対応,【】は私が挿入した注釈です。邦訳が国文社の「叢書アレクサンドリア図書館」シリーズで出ており,それも参考にしましたが,あくまで拙訳です。)

 

 

ネポスが著した『英雄伝』(De excellentibus ducibus exterarum gentium(「外国の名将たち」))で取り扱われた人物の一人,アテナイの将軍Alcibiadesについての伝記をしばらく訳していきます。

この部分は為人の紹介にあたります。

4つ目の訳が微妙ですね。

 

【参考文献】

Roebuck, R. (ed.) (1987) Nepos: Three Lives, Bristol Classical Press, p.16 (ラテン文もこれを使用)

上村健二,山下太郎訳(1995)『英雄伝』,国文社,45頁

 

第2章

Alcibiades (Chap. 2) in Nepos "De excellentibus ducibus exterarum gentium" - scriniarius Togawanus

第3章

Alcibiades (Chap. 3) in Nepos "De excellentibus ducibus exterarum gentium" - scriniarius Togawanus

第4章

Alcibiades (Chap. 4) in Nepos "De Excellentibus Ducibus Exterarum Gentium" - scriniarius Togawanus

第5章

Alcibiades (Chap. 5) in Nepos "De excellentibus ducibus exterarum gentium" - scriniarius Togawanus

第6章

Alcibiades (Chap. 6) in Nepos "De excellentibus ducibus exterarum gentium" - scriniarius Togawanus

ご挨拶

はじめまして。

 

私は西洋古代史の研究者を目指している大学生です。

このブログは,端的に申し上げると,私が勉強したものの備忘録にしようという個人的目的3割,何かのデータベース的なものを自分で作ってみたいという野望7割から成り立っています。まだ23ですし,50年くらい続けていればそこそこの規模になるのではないかというあれです。

 

さて,内容ですが,具体的には

・古典資料(ラテン語・ギリシア語)を復習がてら和訳します。

・読んだ二次文献の内容を軽くご紹介します。

 

内容,更新ペースなどは非常にまちまちになるかと思われます。

 

私がここに掲載する訳は,意図的に元の言語の単語活用が浮かび上がるようにしています。すなわち,対格は「~を」,受動型は「~される」のようにいちいちその通りに訳し,さらに手持ちの辞書に載っている意味を極力用いるようにしています。一応見返したとき翻訳のプロセスがわかるようにということです。そういうわけですので,ここの訳は洗練とは程遠く,直訳の結果不自然な日本語のオンパレードになっています(受験英語とかなら一瞬ではねられてますね)。

すでに邦訳が出版されているものは,訳読の際,私自身がそれを適宜参照していますので,恐らく内容自体は概ね正確(なはず)です。そのようなものは各記事の末尾にその本の書誌情報を掲載しております。

出版されていないものについては,一応授業とかで致命的な聞き漏らしをしていない限り大丈夫だとは思いますが,信頼性はガクッと落ちることになります。

 

さて,まず根本的な問題として,文章を訳している私は完全に初学者です。大小様々な誤訳,知識の不足・誤りは常に存在すると思われます。何かご縁がありこれらを読んでくださった方,ぜひ訂正等のご指摘頂けますと(野望の達成に力を貸していただけますと)幸いです。

 

より起こりにくいこととは思いますが,万一各記事をご覧になって何らかの参考としてお役に立てるようなことがありましたら,これまた幸いです。