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scriniarius Togawanus

復習がてら古典作品の対訳を書くだけです。

Lex de imperio Vespasiani (CIL VI 930, ILS 244)

foedusve cum quibus volet facere liceat, ita uti licuit divo Aug(usto), Ti. Iulio Caesari Aug(usto), Tiberioque Claudio Caesari Aug(usto) Germanico.

そして神と崇められたアウグストゥスティベリウスユリウス・カエサルアウグストゥス,そしてティベリウスクラウディウスカエサルアウグストゥスゲルマニクスに許された通りに,彼【=ウェスパシアヌス帝】が望む者と条約をなすことは適法である。

 

Utique ei senatum habere, relationem facere, remittere, senatus consulta per relationem discessionemque facere liceat, ita uti licuit divo Aug(usto), Ti. Iulio Caesari Aug(usto), Ti. Claudio Caesari Augusto Germanico.

そして神と崇められたアウグストゥスティベリウスユリウス・カエサルアウグストゥス,そしてティベリウスクラウディウスカエサルアウグストゥスゲルマニクスに許された通りに,そのことについて元老院会議を挙行し,報告を行い,差し戻し,報告と採決の結果として元老院の決定を実行するのが適法である。

 

Utique cum ex voluntate auctoritateve iussu mandatuve eius praesenteve eo senatus habebitur, omnium rerum ius perinde habeatur servetur, ac si e lege senatus edictus esset habereturque.

そして彼【=ウェスパシアヌス帝】の要求,もしくは意向,指示,命令,あるいは【+彼が】出席される中で元老院会議が挙行されるであろう時は,法令に従って元老院が命令され挙行されるのと同様に,万事についての法が保持・維持される。

 

Utique quos magistratum potestatem imperium curationemve cuius rei petentes senatui populoque Romano commendaverit, quibusque suffragationem suam dederit promiserit, eorum comitis quibusque extra ordinem ratio habeatur.

そして彼【=ウェスパシアヌス帝】がマギストラートゥス【≒公職者】,ポテスタース【≒公職者に適法に帰属する国家権力の総体】,インペリウム【≒命令権】,もしくは何らかの監督役を得ようと努める者をローマの元老院と人民に推薦し,彼の支持を与え,また約束した者に対して,いかなる民会においてもその者たちに通常以上の配慮が保持される。

 

Utique ei fines pomerii proferre promovere, cum ex re publica censebit esse, liceat, ita uti licuit, Ti. Claudio Caesari Aug(usto) Germanico.

ティベリウスクラウディウスカエサルアウグストゥスゲルマニクスに許された通り,公共益に従っていると彼【=ウェスパシアヌス帝】が評価した場合,ポメリウム【≒ローマ市の聖域(武器の携行が禁止され,内外でインペリウムの種類が別れた)】の境界を拡大・延長することは適法である。

 

Utique quaecumque ex usu reipublicae maiestate divinarum humanarum publicarum privatarumque rerum esse censebit, ei agere facere ius potestasque sit, ita uti divo Aug(usto), Tiberioque Iulio Caesari Aug(usto), Tiberioque Claudio Caesari Aug(usto) Germanico fuit.

そして国家の利益と神・人間・国家・私人の物事の威厳に従うと彼【ウェスパシアヌス帝】が評価するものは何でも,神と崇められたアウグストゥスティベリウスユリウス・カエサルアウグストゥス,そしてティベリウスクラウディウスカエサルアウグストゥスゲルマニクスがそうした通り,彼に実行する権能と権力がある。

 

Utique quibus legibus plebeive scitis scriptum fuit, ne divus Aug(ustus) Tiberiusve Iulius Caesar Aug(ustus), Tiberiusque Claudius Caesar Aug(ustus) Germanicus tenerentur, iis legibus plebisque scitis imp. Caesar Vespasianus solutus sit;

そして法,もしくは平民会決議により記されたものに,神と崇められたアウグストゥス,もしくはティベリウスユリウス・カエサルアウグストゥス,そしてティベリウスクラウディウスアウグストゥスゲルマニクスは束縛されず,これら法や平民の裁定からカエサルウェスパシアヌス帝は自由である。

 

quaeque ex quaque lege rogatione divum Aug(ustum) Tiberiumve Iulium Caesarem Aug(ustum), Tiberiumve Claudium Caesarem Aug(ustum) Germanicum facere oportuit, ea omnia imp. Caesari Vespasiano Aug(usto) facere liceat.

神と崇められたアウグストゥス,もしくはティベリウスユリウス・カエサルアウグストゥス,そしてティベリウスクラウディウスアウグストゥスゲルマニクスが法と提議に従って為すべきとしたことは何でも,それら全てがカエサルヴェスパシアヌスアウグストゥス帝において為すことが許される。

 

Utique quae ante hanc legem rogatam acta gesta decreta imperata ab imperatore Caesare Vespasiano Aug(usto) iusu mandatuve eius a quoque sunt, ea perinde iusta rataq(ue) sint ac si populi plebisve iussu acta essent.

この法以前に,カエサルヴェスパシアヌスアウグストゥスとその命令・指令を受けたものによって依頼され,【+企てて】行われ,【+管理して】実行され,規定され,命令されたものも全てまた,それらが人民や平民の命令で行われていたのと同様に正当かつ有効である。

 

Sanctio

刑罰規定【=約款】

 

Si quis huiusce legis ergo adversus leges rogationes plebisve scita senatusve consulto fecit fecerit, sive quod eum ex lege rogatione plebisve scito scenatusve c(onsulto) facere oportebit, non fecerit huius legis ergo, id ei ne fraudi esto, neve quit ob eam rem populo dare debeto, neve cui de ea re actio neve iudicatio esto, neve quis de ea re apud [s]e agi sinito.

もし何者かがこの法の故に,法・法案・平民の決議・元老院の決議に反することを行った,あるいはこれから行う場合,もしくはこの法の故に,法・法案・平民の決議・元老院の決議に従って行わねばならないことをしなかったとき,これはその人を罪に問わず,このことについて何かを人民に与えず,そのことについて訴訟や判決はなく,その人の前においてそれについての何か【=訴訟】を行うことは許されない。

 

 

 

ウェスパシアヌス帝が発布した命令権に関する法令,所謂「ウェスパシアヌス皇帝法」の碑文の拙訳です。語彙のニュアンスを未だ掴めていないので,上手いこと訳し分けができませんでした...

本来改行されているところを示さないなど,本来碑文に含まれている情報を大幅にカットしたテクスト・オンリーですがご容赦ください。史料写真などは

LEX DE IMPERIO VESPASIANI (CIL VI 930; ILS 244) | open.conted.ox.ac.uk (beta)

で公開されています。

彼が皇帝権力を確立すべく取り決めた条項で,簡単に言ってしまうと先代までの皇帝に認められていた権利を彼が引き継ぐことが確認されているということでいいでしょうか?

講義によると,本来この碑文は複数枚あったそうで,現存部は二枚目かそれ以降のものだそうです。おそらく命令に関する動詞が冒頭部に存在していたと考えられ,繰り返される"utque"はこれに掛かるものだそうです。

 

【参考文献】

Limentani, C. (1991) Epigrafia Latina, pp.113-114.

Meyer, E. (1948) Römischer Staat und Staatsgedanke, Zürich [鈴木一州訳 (1978) 『ローマ人の国家と国家思想』岩波書店](用語の注釈はこれを参考にしました)